筑波海軍航空隊記念館と幻の神社

2022年2月

今回は、かつて旧日本海軍の飛行場があった

「筑波海軍航空隊記念館」にお邪魔しました。

笠間市にある「こころの医療センター」

の側に記念館があります。

私は笠間市に住んで１年になりますが、

このような「戦争遺跡」が身近にある

とは全く知りませんでした。

全国各地にかつて太平洋戦争で使われた

建物など「戦争遺跡」があります。

しかしこのように「記念館」として

保存されているものは、数少ないよう

です。

この記念館も様々な課題を乗り越えて

保存されるに至ったようです。

目次

１、筑波海軍航空隊とは？

２、特攻隊編成へ

３、特攻兵器「桜花（おうか）」の採用

４、今に残る「戦争遺跡」

５、幻の神社「筑波神社」

６、霞ヶ浦航空隊にも「霞ヶ浦神社」と言う神社が存在した

７、最後に

８、筑波海軍航空隊記念館の詳細

９、YouTubeで動画を公開しています！

筑波海軍航空隊とは？

元々は昭和９年、当時「霞ヶ浦海軍航空隊」という

ものがあり、戦闘機のパイロットを養成する目的で

「友部分遣隊」が発足しました。

パイロット候補生を教育する部隊、それが始まりでした。

その４年後の昭和13年12月27日に

「分遣隊」から独立し正式に

「筑波海軍航空隊」となりました。

ところで、なぜ笠間市の友部にあるのに

名前に「筑波」と入るのか？

それは、

元々旧海軍では基地や軍艦に

日本に存在する「山」や「川」の名前

を付ける習慣があること。

また、パイロット達が訓練中によく見る

「筑波山」から名前を取った、

と言われています。

昭和16年に太平洋戦争が始まると、

筑波海軍航空隊で学ぶ隊員も増加しました。

特攻隊編成へ

昭和19年になると、

悪化した戦局を打開するため、

筑波海軍航空隊でも、「特攻隊」

が編成されるようになります。

「特攻隊」とは、そもそもは「生還する望みが低い作戦」

に参加する部隊の事を指していました。

そう必ずしも「死ぬ」わけではなかったのです。

しかし、この頃になると「特攻隊」は、生きてる

人間が、敵の部隊や軍艦に体当たりをして攻撃をする、

「生きて帰る見込みが全くない」もの

それが特攻隊となったのです。

特攻兵器「桜花（おうか）」の採用

桜花（おうか）と言われる兵器がありました。

小型のジェット機のようなものですが、

機首部分に大型の爆弾が搭載されて

いました。

桜花は大型の航空機に吊されて

敵の軍艦まで近づきます。

そして目標まで近づいたら

桜花を切り離します。

桜花には、パイロットが乗り込み

目標の軍艦まで操縦し、体当たり

をして攻撃する、特攻の為の兵器です。

昭和19年6月

当時の筑波海軍航空隊司令官だった

中野忠二郎大佐が、教官を司令室

に集め提案をしたそうです。

この桜花を航空隊の兵器として

採用するか、について、

「一度出撃すれば生還し難いが、成功すれば戦艦でも空母でも撃沈確実の新兵器のことで生還可能性が絶無である以上、上官からの命令はできないので搭乗員の意見を聞くことになった」

という趣旨の説明があったそうです。

生き残る可能性が無い兵器を兵士に

強制は出来ないので、この桜花を兵器として

採用したい、と志願者が２名以上いたら

採用する、と言う事でした。

結果、志願者が２名以上出たので

筑波海軍航空隊で採用する事に

なったそうです。

筑波でも、桜花を採用した部隊

が編成され、実戦に赴き、戦死

された方も多く出ました。

まだ訓練を終えたばかりの若い

パイロットを、このような兵器に

搭乗させなければいけなかった

そんな辛い過去があるのが、

筑波海軍航空隊です。

記念館は、その過酷な部隊を生き残った

人たちや、地域住民から寄せられた

遺品や資料を元に創設されたそうです。

今に残る「戦争遺跡」

そんな航空隊跡地には、

「茨城県立こころの医療センター」が建っています。

記念館に行く時ナビを使うなら、

「こころの医療センター」を行先に指定

すればわかりやすいです。

２０２２年の３月２７日（日曜日）

まで、真珠湾攻撃から８０年という事から

企画展が開催されています。

真珠湾攻撃を題材にした

「トラ・トラ・トラ！」

という映画があります。

私は小学生の時

夏休み夜更かしをしていて、深夜にやっていた

映画で見た事があります。

すごくリアルな映像で、最初は

「戦時中の実際に記録された映像を使っている」

と勘違いをしていた位でした。

その迫力ある映像を

今でも覚えています。

因みに「トラ・トラ・トラ」

とは、真珠湾攻撃の時に使われた

「暗号」のことです。

真珠湾へ向かった攻撃隊が、敵である

アメリカ軍に一切気づかれず攻撃することができた

「奇襲」が成功した、ということを味方に連絡

した時の暗号です。

映画に登場した空母など「軍艦」は

「木」で作られたものだとは驚き！

これは、「零戦」の後ろの部分だそうです。

こういう模型を見るとワクワクしません？

私子供の頃プラモデルをよく作っていたので

模型を見るとワクワクします。

当時の「軍服」など、数々の遺品

が展示されていました。

戦時中使われていた「司令部庁舎」

も見学できます。

こんなに綺麗に保存されているものなんですね。

庁舎の廊下です。

歴史を感じさせる眺めでした。

各部屋にも様々な展示物がありました。

飛行機の歴史が当時の写真を見ながら

理解できる部屋がありました。

戦闘機ってこんなに種類あるんだな〜

航空隊で一番偉い人

司令官がいた部屋です。

ここで特攻兵器「桜花」の

説明を教官達にしたのでしょうか？

「医務室」です。

ここも、昭和の雰囲気が漂います。

「武士は畳の上で死んではならない」

と同じような意味でしょうか？

このようにこちらの記念館は

戦時中の遺品や建物を見学できます。

入館料大人５００円で

ここまで見応えがあるとは驚きです！

戦争の記憶が色あせないように

このような記念館がずっと存続

して欲しいものです。

幻の神社「筑波神社」

この記念館に行って初めて知ったのですが

基地として現役の頃には、「筑波神社」

という神社があったそうです。

これが、かつて神社が有った所。

今は社殿の基礎部分が残るだけ…

その隣には…

かつての筑波神社の説明がありました。

多くの隊員がこの神社にお参りしました。 (写真参照)

出撃前の隊員にとって、 また、命の危険もある厳しい訓練の中、隊員にとっては 心強い存在であったと思われます。 現在、社殿がないのは、敗戦後に米兵の報復を恐れた地元住民の手に壊さ れた為と言われています。 この近くには、神風舎と呼ばれた木造の建物があり、多くの特攻隊員が住んでいました。その若者たちが、毎日必ず目に入るこの神社に様々な思いを祈願したのではないでしょうか。

というように説明がありました。

米軍に壊されるよりは、との事から

地元住民が取り壊した、

と言われているそうです。

「この筑波神社について詳しく知りたい！」

神社をテーマに活動している私としては

当然そうなります！

記念館の方で詳しい事を知っている人

がいないか尋ねてみました。

すると…

戦後、航空隊に関する資料は

一箇所に集められて管理され

ていたそうです。

しかしその場所が「火事」に

なってしまい、貴重な資料が

全て燃えてしまった、とのこと！

もちろん「筑波神社」に関することも…

今記念館にある遺品や資料は

基地周辺の住民から寄付された

ものだそうです。

そんなことがあったとは…

霞ヶ浦航空隊にも「霞ヶ浦神社」と言う神社が存在した

「山本五十六と米内光政」と言う本があります。

著者は「高木惣吉氏」

この方も旧海軍の軍人であり

海軍少将になった方です。

山本五十六はご存知の方も多いと

思いますが、太平洋戦争開戦時の

連合艦隊司令長官であり、

「真珠湾攻撃」の作戦を考えた人物です。

その山本五十六が海軍大佐であった時

筑波海軍航空隊の母体とも言うべき

「霞ヶ浦航空隊」の司令官であったそうです。

その際、訓練で亡くなった航空隊隊員が

国民から忘れられないように、

犠牲者を祀った神社を建立しました。

それが「霞ヶ浦神社」です。

山本五十六は部下想いの方だったんですね…

この事から、霞ヶ浦航空隊の「分遣隊」

であった筑波航空隊にも同じように

神社が建立された、

それが「筑波神社」だったのではないか、

と私は考えた次第です。

それを裏付ける資料は、私が探した中では

なかったのですがね…

最後に

全国各地に「戦争遺跡」

は存在します。

しかし、その多くはその未来が

決まっていないそうです。

筑波海軍航空隊の遺跡も

本来なら取り壊される所を、

関係者の努力によって保存が

決まったようです。

私たちの住む日本は幸運なことに

平和な世の中ですが、

世界に目を向ければ、

今だに戦争が無くなりません。

戦争を企む人達も、残念ながら

存在します。

私たちのご先祖が経験した

戦争の苦しみを風化させない為、

二度とその苦しみを生まない為にも、

このような「戦争遺跡」を後世に

残していかなければならない、

と私は思いました。

筑波海軍航空隊記念館の詳細

※ナビを使う時は、「茨城県立こころの医療センター」を設定すると便利

※駐車場は門を入ってすぐ右側にある「無料駐車場」があります

電車の場合

JR常磐線・水戸線　友部駅下車

友部駅南口から、「茨城県立こころの医療センター」行きバスあり（約１０分）

参考資料

筑波海軍航空隊記念館

筑波海軍航空隊-青春の証- 発行者：友部町教育委員会　生涯学習課

特攻隊の故郷　　著：伊藤純郎

「山本五十六と米内光政」　著：高木惣吉　

YouTubeで動画を公開しています！